遠視は老眼とはちがいます。正しい遠視の知識をどうぞ
遠視(えんし)は、目の屈折異常のひとつで、遠方から眼内に入った平行光線が、調節力を働かせていない状態で、網膜の後方に焦点を結ぶ状態を言います。眼は近くを見る時に網膜(カメラで言えばフィルムにあたる部分)上に正しく焦点をあわせるため、眼の中の筋肉(毛様体筋)を働かせて水晶体の屈折を強くする機能をもっています。これを「調節力」といいますが、調節力は小児の時に最大に持っており、それ以後は加齢と共に徐々に減少して行きます。正視(屈折異常の無い眼)の場合は、遠方(5m以上)を見ているときは調節力はほとんど働いておらず、近くを見る時だけ使っています。
遠視の場合は遠くを見ているときも、調節力を働かせていない状態では網膜の後方に焦点を結んでしまうため、本来は近くを見るときにしか使わない調整力を自動的に働かせ、遠視を補正しようとする。 つまり、常に眼内の筋肉を働かせている状態になるため、眼精疲労の原因になるのです。また、遠視の人は肩こりや頭痛、光のまぶしさを訴える場合が多いようです。遠視の補正(屈折補正)は、調節力を働かせない状態で遠方が明視(ピントが合ってはっきり見えている状態)できる度数の凸レンズでおこなわれ一般的には眼鏡・コンタクトレンズを使用することになります。
遠視は、遠くにも近くにも目のピントを合わせられない状態をいいます。軽い遠視で年齢が若ければ、目の調整する力もあるので遠くも近くも見えますが、目は常にピントを合わせようと調整し続けているので眼精疲労や肩こりの症状がでやすいのです。中度の遠視は、遠くは見えますが近くのものにはピントが合いません。強い遠視であれば、遠くも近くもぼんやりしてよく見えません。遠くも近くもぼんやりとしか見えない遠視は、近視以上に治療が大切なのです。遠視になる原因として「屈折性遠視」と「軸性遠視」の2種類があります。もしご自身や家族が遠視ならばどちらのタイプなのかを把握しておきましょう。
■屈折性遠視
見ているもののピントを合わせる水晶体のカーブが通常よりも緩やか過ぎる場合や水晶体の屈折力が弱いと、焦点が網膜よりも後ろで結ばれてしまい、目に映ったものがぼやけてしまいます。遠くのものははっきりと見え、近くのものがぼやけてしまう場合はこの屈折性遠視の可能性があります。
■軸性遠視
水晶体の屈折力は正常でも、眼球の前後の長さが短いと見たものを映す網膜が通常よりも手前にきてしまい、そのために焦点がずれてしまいます。眼球の長さが短くなる原因は遺伝的なものが考えられています。網膜に焦点が合っていないと目に映ったものがぼやけます。幼児は眼球も発達途中なので、眼球の前後の長さが短くても異常ではありませんが、早めに治療する必要があります。
子供の遠視は、ほとんどの場合眼の成長不足が原因です。眼の奥行きが短くて、角膜・水晶体で屈折した光が結像する前に網膜に届いてしまい、ピンぼけになる状態です。子供の眼はまだ発育途中のため、眼球の長さが十分伸びていません。したがって、子供の遠視はめずらしいものではなく、異常ではありませんが、弱視や斜視の原因になるので注意が必要です。視力の発達をはじめ、両眼視機能など基本的な眼の能力は6歳ごろで完成します(これ以降は成長が見込めないというわけではありませんが、速度は落ちてしまいます)ので、なるべく早い段階で診断を受け適切な処置をしなければなりません。しかし、子供にとっては、それが「当たり前」の状態なわけですから、本人が異常を訴えることはあまりないようです。「テレビを見る目付きが不自然」だとか、「にらめっこした時に目の位置が内に寄っている」など、親の判断が必要になります。また、遠視のある子供によく見られることに、「落ち着きがない」「集中力がない」「偏頭痛持ちである」ということが挙げられます。「調節」するために眼の中の毛様体筋が絶えず緊張を強いられているために、そのストレスが脳に伝わり(眼は脳の出先機関なのです)、集中できなかったり頭痛を引き起こすようです。弱い遠視の場合は視力が良好な場合が多く、なかなか気付きませんが、眼の疲れや偏頭痛を訴えるようなら一度専門医に相談することをお勧めします。